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歯列矯正で抜歯は必要になる?ケース別に解説

歯列矯正をしたいけれど、「抜歯はしたくない」「自分の健康な歯は残したい」と考えている方は多いのではないでしょうか。抜歯と聞くと、「痛そう」「怖い」といったイメージを持っている方もいると思います。実際に、歯列矯正を行う方の半数程度が抜歯を行っているようです。

この記事では、どんな場合に歯列矯正で抜歯が必要なのか、抜歯以外に方法はあるかについて詳しく紹介しています。歯列矯正を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

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歯列矯正の目的

歯列矯正というと、笑顔の魅力がアップする、横顔がきれいになるなど、美容面でのメリットを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、歯列矯正の本来の目的は、不正咬合を1人ひとりに合った矯正装置を使って改善していくことです。

不正咬合とは、歯並びや噛み合わせがよくない状態の総称で、歯の位置や歯列弓、上下の嚙み合わせなどから生じます。不正咬合の種類としては、歯が顎に入りきらない叢生、前歯の咬み合わせが深い過蓋咬合、上下の前歯が合わさっている切端咬合、奥歯で咬んでも前歯が当たらない開咬、出っ歯と総称される上顎前突などがあり、正常咬合でないものは不正咬合に当てはまります。

不正咬合は放置しておくと日常生活に支障が出る場合があるため、歯列矯正で歯並びや噛み合わせを改善する必要があります。

歯列矯正によって見た目が改善されることはもちろんですが、健康面のメリットもさまざまです。

まず、1つ目が歯の健康を保ちやすくなることです。歯並びが悪いと、歯と歯の間や、歯と歯肉の間に歯ブラシが届きにくく、食べかすなどが残りやすくなってしまいます。歯を衛生的に保てないと、むし歯や歯周病のリスクも上がります。歯列矯正で歯並びが整えば、歯ブラシが届きにくかった部分もしっかり磨けるようになり、歯の健康を保ちやすくなるでしょう。

2つ目がよく噛んで食べられるようになることです。歯の嚙み合わせが悪いと、食べ物をしっかりと噛めません。歯列矯正で嚙み合わせを整えることで、噛み切れなかった食べ物も噛みやすくなります。

3つ目が顎関節の不調が軽減することです。嚙み合わせが適切でないと、咀嚼したときに顎や周辺の筋肉に余計に力がかかってしまいます。その結果、「口を大きく開けづらい」「口を開けると痛い」「顎関節でカクカク音がする」など、顎関節の不調が起きる場合も。顎関節の不調の原因が噛み合わせの場合は、歯列矯正で改善するケースがあります。

そのほか、歯列矯正をすることで、「はっきり発音できるようになる」「顔のバランスがよくなる」「自身が持てるようになる」といった利点があります。歯列矯正は、美容面、健康面から見ても、メリットが大きい治療といえるでしょう。

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歯列矯正のメカニズムと方法

根本的な歯列矯正のメカニズムを紹介します。体の生理的な反応を利用して歯並びを整えていくのが矯正歯科治療です。詳しい仕組みとしては、歯と歯槽骨の間には、歯根膜というクッションのような組織があります。歯に矯正力が加わると歯根に圧迫された側の骨が吸収され、反対側のすき間に新しい骨が作られます。骨の吸収と再生を繰り返し行っていくと、結果的に歯が移動していくのです。

歯の動かし方は水平方向だけではありません。回転させたり、引っぱり出したり、引っ込めたり、歯根を移動させたりすることも可能です。整った歯並びや正しい嚙み合わせになるよう、歯列矯正ではさまざまな歯の動かし方を組み合わせていきます。

歯列矯正の方法は、大きく分けて「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2つあります。

ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる器具を歯に装着してワイヤーを通し、動かしたい方向に向かって力を加えていく矯正方法です。昔から用いられている方法で、対応症例が広いのが特徴。ワイヤー矯正のなかにも、歯の表面にブラケットとワイヤーを装着する表側矯正と、歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着する裏側矯正があります。

マウスピース矯正とは、ワイヤーやブラケットを使用せず、透明なマウスピース型の装置で歯を動かしていく矯正方法です。アライナーと呼ばれるマウスピースは透明で薄いので、人から矯正していると気付かれにくいのが特徴。食事の際は外せるので、食べる物を気にしなくてよいのも人気の理由の1つです。

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歯列矯正に抜歯は必要なのか

歯列矯正の治療を行う際、抜歯が必要になることがあります。実際に、半数ほどの人が抜歯を行うともいわれています。ここでは、抜歯が必要になる3つのケースを解説します。

歯と顎の大きさのバランスが悪い場合

歯の大きさに対して顎が小さかったり、顎の大きさが十分でなかったりする場合、口腔内に歯を並ぶスペースを確保できません。そのため、歯が正常な位置ではなく、前後にガタガタと生えてしまうのです。歯列矯正をする場合に、顎の広さが十分にあり歯を正常な位置に並べられるようであれば、抜歯をせずに矯正できます。また、多少スペースが足りない場合は、歯を削って対応することも可能です。しかし、十分なスペースがないまま歯列矯正を行うと、噛み合わせが悪くなってしまったり、歯茎が下がってしまったりする恐れがあります。そのため、顎が小さく、歯を正しい位置に並べるのが難しいと判断された場合、抜歯をしなくてはなりません。

前歯に傾斜が見られる場合

前歯だけ前に出ている、口元が出ている、口が閉じづらいなどの問題がある場合は、抜歯対象になる場合があります。これは上下顎前突と呼ばれ、そのままにしておくと歯並びの安定や歯の健康寿命にも関係してくる状態です。抜歯が必要な矯正治療で抜歯をしないと、思うように歯を移動させられなくなります。上下顎前突の矯正治療では、上下左右1本ずつ、合計で4本の歯を抜歯するケースが多いです。

上下で咬合異常が見られる場合

上下の歯で嚙み合わせの異常がある例としてあげられるのは、出っ歯や受け口、叢生、噛み合わせが深いなどです。歯の乱れの状況が重症な場合は、抜歯をして奥歯と前歯を前後に移動させ、噛み合わせを整えていきます。上の歯2本、または、下の歯2本を抜歯するケースが多いです。

関連記事:歯列矯正で抜歯をする症例とは?抜歯しなくても矯正治療はできる?

抜歯以外で対処する方法

抜歯が必要なケースに当てはまるけれど、抜歯は避けたいという方もいると思います。ここでは、抜歯以外で対処する3つの方法を紹介します。

1つ目が奥歯を奥へ移動させる方法です。奥歯をさらに奥へ移動させスペースを確保し、歯が収まる場所を作ります。奥歯を奥に移動させる治療は以前では難しいとされていましたが、歯科矯正用のアンカースクリューが登場し、治療が可能になりました。歯科矯正用アンカースクリューは小さな生体親和性の高いネジで、歯茎の歯槽骨に埋め込むと目的の歯だけ動かすことが可能です。従来であれば小臼歯などを抜かなくてはならない症状でも、歯を抜かずに治療できる可能性が高くなっています。歯科矯正用のアンカースクリューは、矯正期間短縮や患者の負担軽減効果も期待されています。

2つ目が歯列の幅を拡張させる方法です。歯が生えているU字型の歯槽骨の範囲内で歯列のアーチをわずかに広げていきます。拡張するのはごくわずかなので輪郭に影響は出ません。しかし、広げて作れるスペースも少ないため、歯並びや噛み合わせの状況によっては適さない場合もあります。

3つ目が歯をわずかに削る方法です。歯の表面にあるエナメル質をわずかに削ることで歯を移動させるスペースを作ります。ディスキングとも呼ばれ、歯列矯正治療で抜歯をしない代わりによく用いられる方法です。「歯を削ってしまって大丈夫なのか」と心配になる方もいるかもしれません。ディスキングでは、歯の1番外側のエナメル質を0.2~0.5㎜程度しか削らないため、基本的にむし歯や知覚過敏になる心配はありません。例えば、1本あたり0.25㎜ずつ削るとします。1本の削る量はわずかでも、2本の歯の間にできるスペースは0.5㎜になり、歯を動かすのに必要なスペースを確保できるのです。歯を削るのに抵抗があるという方もいると思いますが、「自分の健康な歯を残せる」というのは大きなメリットでしょう。

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歯列矯正にかかる費用

大人の歯列矯正にかかる費用は10~150万円前後と幅があります。なぜなら、歯列矯正は多くの場合で保険が適用されない自由診療だからです。治療法や治療期間、歯科医院によって歯列矯正にかかる費用は大きく差があります。

ここでは、矯正治療法ごとの費用相場を紹介します。

まず、一般的な歯列矯正法であるワイヤー矯正です。ワイヤー矯正の表側矯正は70~100万円程度といわれています。歯列矯正のなかでは比較的安く治療できる方法です。しかし、表側矯正でもブラケットを目立たない素材にする、ワイヤーを白いものにするなど、審美性を重視すると、素材の分だけ矯正費用が上がってくるので注意が必要です。

ワイヤー矯正の裏側矯正は、100~150万円が費用相場です。ブラケットが目立つ表側矯正に抵抗感のある方に人気の矯正方法ですが、技術が必要なため費用も高額となります。表側矯正の1.5倍ほどの費用がかかる場合が多いようです。費用負担が気になるという方は、ブラケットが目立ちやすい前歯だけ裏側矯正にするなどもできます。全体的に裏側矯正にするよりも費用を抑えられるでしょう。

前歯だけなど、気になる部分だけ矯正する部分矯正の費用の相場は、35~60万円程度です。矯正する部分にもよりますが、全体矯正の半分ほどの費用で済むことが多いようです。ただ、先述の通り、歯列矯正は見た目の改善だけを目的に行うものではありません。嚙み合わせなどの機能面も重要になってきます。部分矯正で対応できる症例は限られているため、まずは歯科医師に相談しましょう。

マウスピース矯正の費用相場は30~120万円程度と幅があります。マウスピース矯正にはさまざまなブランドがあるためです。安すぎる価格のもののなかには、歯列矯正をきれいに行えずトラブルになった事例もあります。矯正内容と費用の両方を見て検討することが重要です。歯科医院によって、1ヵ月に1度クリーニングを行わなければならないところや数ヵ月に1度の通院でよいところなどさまざまです。矯正費用とは別に費用が発生する場合もあるので、始めに確認しておきましょう。

関連記事:矯正治療の費用って?渋谷ルーブル歯科・矯正歯科の治療費用や注意点を徹底解説

歯列矯正で注意すべき点

歯列矯正は高額な治療です。理想の歯並び・嚙み合わせに近づけるためにも気を付けなければならない点があります。ここでは、歯列矯正で注意すべき3つのポイントを紹介します。

1つ目の注意点が、歯科医師選びです。これまで、歯列矯正は矯正治療専門の歯科医師が行い、歯列矯正以外の治療は一般歯科医師が行い、お互い連携しながら治療を進めるケースがほとんどでした。しかし、最近では一般歯科医師が矯正治療を行ったり、矯正専門の歯科医師が一般歯科治療を行ったりするケースが増えてきています。つまり、歯列矯正を行っている歯科医院でも矯正を専門にしていない場合があるということです。また、矯正治療法の多様化に伴い、歯科医院によって治療法や治療方針にばらつきが出ています。治療方針や価値観、実績などを事前に調べると、より納得して歯列矯正を行えるでしょう。

2つ目の注意点が歯を移動させている期間の過ごし方です。歯を移動させている期間は嚙み合わせが不安定になるため、歯に余計な力をかけないことが重要です。例えば、食いしばりや歯ぎしりは矯正器具の破損につながる恐れがあります。食いしばりや歯ぎしりは無意識のうちに行ってしまうケースも多いので、癖があるという方は歯科医師に相談しましょう。また、矯正期間中は食べかすが口腔内に残りやすいので、むし歯や歯周病のリスクが高まります。いつもより丁寧な歯磨きを心がける、甘いものを食べる回数を減らす、間食を減らすなどするとよいでしょう。定期的な歯のクリーニングも有効です。

3つ目が歯を移動させる期間が終了した後の過ごし方です。歯列矯正は、歯が理想の位置に移動して完了ではありません。しばらくは歯が元の位置に戻ろうとする力が働くため、完成した歯並びが乱れてしまいます。後戻りを防ぐためには、歯の移動期間が終わってからリテーナーという装置を入れる保定期間が必要です。保定期間の長さは個人差が大きいので、歯列矯正を始める前に歯科医師に確認するとよいでしょう。

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歯列矯正で抜歯が必要なケースは多いが避ける方法もある

今回は、歯列矯正で抜歯が必要なのか、抜歯を避ける方法はあるかについて紹介しました。歯と顎の大きさのバランスが悪い場合、前歯に傾斜ある場合などは抜歯が必要になるケースが多いようです。しかし、症例によっては、奥歯をさらに奥へ移動させる、アーチを広げる、歯をわずかに削ることで抜歯を回避できる場合があります。歯科医師の治療方針によっても選択肢は変わってくるので、歯列矯正の治療を受ける前に矯正専門の歯科医師とよく相談しましょう。

ぜひ渋谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」へご相談ください。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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