この記事を監修した人
医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
こんにちは
本日は最近よく耳にするキレイラインについてお話していきます。マウスピース矯正の基礎知識は前回ブログでアップしてますのでそちらを参照ください。
マウスピース型矯正装置(インビザライン) ↓
https://www.shibuya-louvre-dental.com/blog/post-11/
キレイラインとは
さて「このキレイラインなんですが!!!」今ネットですごい広告がでまわっていますね。 謳い文句としては【気になる前歯の矯正が4万円から始められる】というものです。
最近では2万円から始められるキレイライン矯正というのに変更しているみたいです。
これ正直、矯正医からすると少し困惑する内容です。
キレイラインで本当に安く矯正ができるのか?
まず4万円から始められる矯正というキャッチフレーズ
当院ではキレイラインは一切取り扱っていませんが、この広告で4万円~数万円以内で自分の歯並びが綺麗に並ぶと思い込む人が後を絶たなく、
周りの友人やインスタなどSNSから矯正医の僕にキレイラインの評判など数多く問い合わせがあります。
これ説明するのが非常に大変なんですよ...!!
これマウスピース1枚の値段が4万円であり4万円で矯正治療が完了するわけではないみたいです。平均4~7枚ぐらいマウスピースを交換して10~30万がおおよその費用になります。ここを誤解して数万円で矯正できると勘違いする人が多くいるのだと思います。
※画像は以前のもので最近の広告ではこの辺は変更しているみたいです。
こちらはあくまでも矯正医のいち意見であることをご了承していただき、皆さんが矯正治療を選ぶ際の参考にしていただけたらと思います。
キレイラインを始める前に注意すべきポイント
ポイント①:途中解約しても返金されない
キレイラインでは確かに矯正治療は安価に始められるがキレイラインで満足できない、または模型のように奥歯まで完璧に治したいと思った時にワイヤー矯正やマウスピース矯正のインビザラインに後から変更しようと思ってもキレイラインで支払った治療費用は返金はされません。なのでその場合は治療費用が余分にかかってしまいます。
また矯正治療は歯根吸収など目に見えないダメージもあるので何回も矯正治療することはお勧めできません。
詳しくは下記を参考にしてください。
矯正治療って何回でもしていいの? ↓
https://www.shibuya-louvre-dental.com/blog/post-34/
ポイント②:どんなケースにも対応できるわけではない
キレイラインでは様々なケースに対応できると表記されていますが矯正医として現在の僕の知識での感想になりますがマウスピース矯正の技術ではアタッチメントをつけずにこれらのケースに完璧に対応するのは難しいと思います。
日本矯正歯科学会が発表しているマウスピース型矯正装置の注意事項も参考にしてください。
http://www.jos.gr.jp/news/2017/0323_00.html
http://www.jos.gr.jp/news/2019/0605_13.html
ポイント③:簡単に取り外しができてしまう
インビザラインにも言えることですがマウスピース矯正はワイヤー矯正と違い、任意で取外しができるため思ったように治療効果が出なくても「装着時間が短いのでは?」と言われると困ってしまいます。
ポイント④:噛み合わせは治らない可能性がある
そもそも矯正治療は噛み合わせを治すことがメインだと考えるので歯を綺麗に並べることが一番の目的ではないと考えます。
詳しくは下記を参考にしてください。
部分矯正で後悔しないために! 本当に部分矯正でいいんですか? ↓
https://www.shibuya-louvre-dental.com/blog/post-38/
キレイラインの費用はどのくらい?
キレイラインはマウスピース1枚の値段が4万円とのことです。なのでマウスピースの交換が4枚であれば16万円、10枚であれば40万円となります。
また最近の広告では2万円から始められるマウスピース矯正に変更になっておりますが、マウスピースが2万円になるのは最初の1枚だけで2枚目以降からは通常通り4万円になります。
そして初回契約時にコース割引もあるみたいで
4回コース13万円
7回コース23万円
10回コース33万円などコースは細かく分かれております。
また歯が並ぶスペースが足りなかったり、あごが小さい人に対しては拡大床という付属の矯正装置が別途必要になります。
拡大床の費用は上下のあごに対してそれぞれ+4万円になります。
その他初診料が3500円程度
当日キャンセル、無断キャンセルが3300円
IPR(歯と歯の間を削る)1か所につき3300円
保定装置が2万~6万円(医院によっては無料のところもあり。)
これ平均すると20万~30万ぐらいはかかりそうですね?
キレイラインの特徴とは?
キレイラインは、症例写真のビフォーアフターからも前歯12本を重点的に動かしているようです。
なのでキレイラインは前歯の歯並びの見た目を重視される方にはいいと思います。
キレイライン取り扱いについて
キレイラインはソフト・ハードの硬さの違うマウスピースを交互に使用して矯正治療を進めていくそうです。
ソフトのマウスピースを3週間使用後、ハードのマウスピースに変えて3週間を1サイクル(1枚)として矯正治療を進めていきます。
また拡大床を併用する場合はハードのマウスピースを使用する時に同時に併用します。
使用時間は20時間以上が推奨されます。
他の矯正装置との比較
従来型ワイヤー(全ての歯)
と
キレイライン(上下12本を重点的に動かす)
また比較の従来型ワイヤーはすべての歯(28本)前歯から奥歯までしっかりと動かし噛み合わせまでしっかりと作れる全体矯正と比較しており、かたやキレイラインは上下の前歯(12本)を重点的に動かすものです。
・それだと治療期間や治療費用が違うのは当然なので同じマウスピース矯正であるインビザラインの軽度なガタつきの症例に適応されるインビザラインライトと比較してみました。
例えば前歯だけ気になる人の矯正
インビザラインライト(片あご又は両あご部分矯正)
と
キレイライン(上下12本を重点的に動かす)
インビザライン キレイライン
見た目 ◎ ◎
価格 30~50万 10~30万
相談・初診 無料 3500円程度
キャンセル料 無料 3300円
リテーナー 無料 2~6万円
期間 3ヶ月~1年 5か月~1年3か月
取外し 可能 可能
型どり 光学印象 光学印象
交換時期 7~14日 21日
ホワイトニング 併用可能 併用可能
HW薬剤 2本無料 最低1本無料
痛み 少ない 少ない
違和感 ◎ ◎
医師の技術 必要 必要ない
製造国 アメリカ 日本
シュミレート デザイナー 技工士
歴史 2006年~ 2018?年~
症例数 700万人以上 数千人~数万人
対応国 世界各国100以上 日本のみ
見た目
見た目に関してはどちらもマウスピース矯正であるため審美性は良好です。
しかしキレイラインは拡大床を使用する場合があり、前歯に針金の一部が見えてしまうのでこの場合はインビザラインの方が審美性に勝るでしょう。
ただしインビザラインにはアタッチメントをつける場合があります。アタッチメントを前歯につけるとなるとアタッチメントをつけないキレイラインに軍配が上がるでしょう。
(インビザラインの前歯のアタッチメントは審美性にかかわるので患者さんの希望を最優先しております。)
アタッチメントに関しては下記を参照してください。
インビザライン アタッチメントとは? ↓
https://www.shibuya-louvre-dental.com/blog/post-36/
動かせる歯
インビザラインは片あご全ての14本を動かすのに対して、キレイラインは片あごの場合前歯6本を動かすのをメインとしております。
一応、奥歯も動かせるようですがインビザラインと違いアタッチメントを使用しないので奥歯に関しては完璧に動かすのが難しそうです。
公式にも奥歯の噛み合わせの治療をメインで行いたい患者様は、キレイライン矯正では治療できませんと記載されてます。
仕上がり
全体矯正で28本、奥歯の噛み合わせまでしっかり作ったのに比べると
どちらも部分矯正なのであまりお勧めではないです。
※あくまでも一人の矯正医の意見であり、根拠に基づくものではありません。僕、個人のキレイライン公式の症例写真を見た主観です。
ホワイトニング
どちらもマウスピース矯正なので矯正治療をしながらのホワイトニングが可能です。またホワイトニングの種類はお家でやるホームホワイトニングというタイプです。
ホワイトニングに関しては下記を参照してください。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニング ↓
https://www.shibuya-louvre.dental/blog/post-27/
関連記事:歯列矯正中にホワイトニングはできる?矯正歯科認定医が詳しく解説
痛み
痛みに関しては症例やその人の感覚によるものなので表にするのが難しいですが
表側ワイヤー矯正の痛みを痛いとするならどちらも痛みは少ないです。
ただしインビザラインは1枚のマウスピースで0,25ミリ動かすのに対してキレイラインは1枚のマウスピースで1ミリ動かします。こうなるとインビザラインは1ミリ動かすのに4枚のステップを踏むことになるので痛みも4等分されるのでインビザラインの方が痛みは少なそうです。
しかしキレイラインは柔らかいソフトタイプと固いハードタイプのマウスピースを併用します、またマウスピースの材料も違うため一概にどちらが痛みが少ないとは言いきれません。
関連記事:歯痛みに弱い人必見!痛くない歯列矯正
違和感
普通の表側ワイヤー装置を〇だとすると、マウスピース矯正は比較的違和感が少なくどちらも◎になります。
しかしキレイラインの場合、拡大床を併用すると一気に違和感が増すので拡大床も一日8時間以上使用すると考えると違和感はどうでしょうか。
医師の技術・シュミレーション
キレイラインの強みの医師の技術差がないというのはシュミレーション(パソコン上で3Dで歯を並べる作業)を公的な資格を有し歯科治療に従事する歯科技工士が監修医及び担当歯科医師の指示のもとデザイン行っているので平均して治療結果を安定させることができます。
かたやインビザラインはシュミレーションの製作には公的な資格を有しないデザイナーが医師の指示のもと製作しておりますので担当歯科医師により、さらに指示を出しシュミレーションを作り上げていくため担当歯科医師の矯正技術レベルにより治療クオリティーが変化します。なので複雑な症例はインビザラインの症例数がダイヤモンドランク以上のところにお願いすると良いでしょう。
詳しくは下記を参考にしてください。
インビザライン ステータスランク↓
https://www.shibuya-louvre-dental.com/blog/post-35/
歴史
アメリカでは1999年にインビザラインが導入されてから20年が経過しました。日本には2006年に導入されてから14年が経過しております。
一方、キレイラインは最近でてきたものになります。
症例数
インビザラインの症例数は2020年1月現在700万人以上に及びます。
キレイラインは出てきたのが最近なこともあり症例数としては数千~数万人にとどまります。
現状ではインビザラインの方が症例数は多そうですね、ただしキレイラインも症例数をいいペースで伸ばしていると思います。
症例数が増えればそれだけ今後もより良く改善されていくでしょう。
対応国
インビザラインは今や世界各国100以上の国で取り扱われており、インビザラインの技術は世界的にも取り入れられているみたいです。
キレイラインは日本で始まったばかりなので今後の展開に期待です。
キレイラインとインビザライン、どちらがいい?
上記の表からインビザライト(インビザラインの前歯だけの部分矯正)とキレイラインを比較するとどうでしょうか?
歯列矯正のハードルを下げることで矯正治療に患者さんが踏み出しやすいのはいいことだと思います。患者さんが自分で予算を決めれてその予算までは矯正できるので完璧を求めてない方にはいいかもしれません。
しかし本来矯正のゴールは矯正治療をしっかり勉強した矯正医がゴールを決めるべきで、患者さんが自分の予算にあわせてまたは患者さん自身が満足したからという理由でゴールを決めるべきではないと考えます。
そして後から奥歯のかみ合わせまで求めるとなると再度全体矯正が必要となり別途、治療費用がかかります。
なのでキレイラインやインビザラインライトでは、全体を動かし噛み合わせまで作るインビザラインフルや従来のワイヤー矯正と比べると奥歯の噛み合わせまでしっかり作ることが難しいためまだまだな気がします。今後キレイラインがアップデートされて奥歯まで噛み合わせをしっかり作れるようになりそれを患者さんに安価で提供できるようになると今までの矯正治療に革命を起こすかもしれません。
まとめ
現状キレイラインで矯正するなら、症例にもよりますが前歯の軽度のがたつき(2~3ミリ以内)で歯の動かし方が前後的ものであれば予測実現性が高く仕上がりも十分満足いくものになるのではと考えます。
また部分矯正を希望で治療費用が安くなるのであればどちらも選択の一つとしてありだと思いますが、どちらも部分矯正にはなってしまうので治療費が高くなっても全体矯正を選択するのがいいんじゃないかと思います。
このブログ以外にもインビザラインとキレイラインについて書かれたブログやキレイラインを実際にされてる生の声がTwitterに上がっていますのでそちらも矯正治療を選択される際の参考にされるといいのではないでしょうか?
広告の安さだけに目を奪われて決めるのではなく、将来の自分の歯のことをしっかり考えて賢く矯正治療を選択しましょう。
ぜひ渋谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」へご相談ください。
https://www.youtube.com/watch?v=0jL4S_MU3BM
この記事を監修した人
医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
【略歴】
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- しんファミリー歯科 矯正監修
- 大手審美歯科クリニック 代診勤務医
- 医療法人清翔会 エスカ歯科・矯正歯科 院長就任
- 渋谷ルーブル歯科・矯正歯科 独立開業
- 医療法人社団 ルーブル設立 理事長就任
- 新宿ルーブル歯科・矯正歯科 開業
【所属団体】
- インビザライン社公認 ダイヤモンドプロバイダー
- インビザライン(マウスピース矯正)認定医
- インコグニート舌側矯正 認定医
- winシステム舌側矯正 認定医
- 日本矯正歯科学会 所属
- 日本成人矯正歯科学会 所属
- 日本顎咬合学会 所属
- 日本外傷歯学会 認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 所属
- 日本歯科審美学会 所属 他多数