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前歯だけに限定される矯正治療「部分矯正」の内容・メリットを解説

前歯がきれいに生え揃わないケースとして、出っ歯(上顎前突)・受け口(下顎前突)・過蓋咬合などが挙げられます。また、すきっ歯や八重歯のように正しい並びに生え揃わない場合も多く、美しい歯並びを手に入れるためには矯正治療が有効です。

この記事では、前歯のみの歯列矯正方法として行われる「部分矯正」について、お口の中全体の矯正との違いや、前歯に部分矯正を行うメリットを紹介します。前歯の不揃いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

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前歯だけの歯列矯正には部分矯正を用いる

部分矯正と全体矯正(全顎矯正)は、矯正治療の適応範囲が異なります。部分矯正はお口の中の全体ではなく部分的に行う治療で、全体矯正は口の中のすべての歯に矯正治療を施す方法になります。

部分矯正と全体矯正の詳しい違いは以下のとおりです。

矯正治療の種類

部分矯正

全体矯正(全顎矯正)

治療内容

一部の歯への矯正治療

口の中すべての歯への矯正治療

治療対象部位

上下の前歯(3番目まで)

すべての歯を治療可能

治療期間

数ヶ月〜1年半程度

1〜3年程度

保定期間

数ヶ月〜1年半程度

1〜3年程度

推奨される治療

ワイヤー・マウスピースどちらも選びやすい

ワイヤーのほうが効果が期待できるといわれている

メリット

気になる前歯部分を整える

歯の噛み合わせをすべて整える

デメリット

部分的な矯正にとどまる

年数や費用がかかる

 

部分矯正は基本的に前歯とその脇の3番目の歯までが対象です。治療はワイヤー矯正のほかに、マウスピース矯正も選べます。

ただし重度の不正咬合については、マウスピースでは対処することができません。基本的にワイヤーのみの治療となるため、治療期間や費用などをクリニックとよく相談してください。

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前歯を部分矯正するメリット

前歯を部分矯正すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。3つのメリットについて、全顎矯正と比較しながらチェックしていきましょう。

メリット①治療期間が短い

部分矯正のメリットは、全顎矯正よりも治療期間が短いことです。全顎矯正が2,3年かかるところを、部分的な矯正は数ヶ月〜1年程度で終了します。

全顎矯正中は、食事・歯磨き・発話などにさまざまな影響が出てきます。ワイヤー矯正では、ブラケットまわりを中心に汚れが溜まりやすく虫歯・歯周病に注意しなければなりません。

一方、部分矯正には全顎矯正ほどのストレスがなく、ケアする部分も限られた範囲のみ。治療を終えられる期間も最長で1年程度であり、その後は保定期間に入ります。全顎矯正に比べてストレスフリーに治療を進めていけるでしょう。

関連記事:歯列矯正にかかる期間の目安・治療期間と短くするためのポイント

メリット②治療費用が安い

治療費用も安く、20〜40万円前後とリーズナブル。前歯が気になっており、前歯のみ動かせるケースには限られますが、全顎矯正の場合は100万円近い金額がかかるケースもあるため、一部分のみの治療で費用を安く抑えることができます。

「全顎矯正できるほどのゆとりはないが、前歯だけでも何とかしたい」といったケースに対応できる可能性があります。

あくまでも全顎矯正にこだわり、部分矯正を断るクリニックもみられますが、他院で断られた部分矯正を積極的に実施しているクリニックもあるため、問い合わせやカウンセリングを活用して医院を選びましょう。

関連記事:歯列矯正にかかる費用はどのくらい?各種矯正の相場について紹介

メリット③心身に対する影響が少ない

動かす歯が前歯のみのため、矯正器具による締め付けやものの噛みづらさもわずかな範囲にとどまります。

矯正治療のあとは「保定期間」と呼ばれる固定のための期間が必要になり、矯正にかかった期間と同程度の年数を保定に費やさなくてはなりません。口の中全体が動かしづらいと食事やコミュニケーションがとりづらく、心理的・肉体的に不自由さが伴います。

しかし部分矯正には全顎矯正ほどの期間がかからないため、保定期間も同じだけ短くなり、心身への影響を少なく抑えられます。

前歯だけの歯列矯正で治せる症状

前歯のみの歯列矯正は、限定的な治療のため重度の症状には適用できません。しかし、以下のような症状であれば治療できる可能性があります。

軽度の乱杭歯・軽度の出っ歯・軽度の反対咬合・空隙歯列について、状態・原因を含めて詳しくみていきましょう。

軽度の乱杭歯

乱杭歯とは、歯並びが一列に揃わず不規則に生えてしまっている状態です。「叢生(そうせい)」とも呼ばれ、八重歯も乱杭歯の症状に含まれます。

隣り合う歯が重なり合っていたり、歯茎から飛び出すようにして生えたりと、さまざまなケースがみられます。

乱杭歯の原因は顎のスペース不足(顎の小ささ・狭さに対して歯のサイズが大きい)といわれており、現代人に多くみられる不正咬合の症状でもあります。

軽度の乱杭歯は、前歯とその2つ隣の歯にのみ不正咬合が起きているケースを指します。4番目以降の歯も噛み合っていなければ、基本的には全顎矯正の対象になるでしょう。

軽度の出っ歯

軽度の出っ歯(上顎前突)は、マウスピース矯正も可能な非常に軽度な状態を指します。出っ歯は上と下の前歯のすき間が5mm以上あるかどうかで判断されますが、出っ張っているほうの歯の傾きも重要になります。

唇までしっかり前突してしまっている状態は、中等度以上の出っ歯と判断される可能性があります。画像診断、写真撮影による精密検査を受けてから、部分矯正が可能かどうかを判断する必要があります。

関連記事:インビザライン矯正で出っ歯は治せる?出っ歯の種類と治療方法

軽度の反対咬合(受け口)

軽度の反対咬合は、いわゆる受け口・しゃくれている状態です。受け口も出っ歯と同じように軽度から重度までレベルがあり、受け口の程度を確認して部分矯正が可能かどうかを判断します。

たとえば、歯のみが外に傾斜しており下顎が前突していないようなケースでは、部分矯正によって歯の向きを改善できる可能性があります。

反対に、顎の骨から前突しているような状態は部分矯正だけでは改善が難しく、外科的治療も含めた対応が必要になります。

前歯だけの歯列矯正ができない症例

前歯のみの歯列矯正が適用できない症例としては、以下のようなケースが挙げられます。

【部分矯正ができないケース】

  • ・重度の不正咬合
  • ・骨格のトラブル
  • ・部分矯正で歯列が乱れる場合

部分矯正は「右の犬歯から左の犬歯まで」の範囲内に限られる治療のため、その範囲を超えてトラブルがみられれば、全顎矯正の対象になります。

基本的に、出っ歯・受け口・噛み合わせが深すぎるといった不正咬合の症状が中等度以上のケースでは、部分矯正だけで対応が難しいと判断されるでしょう。

なかには顎や口まわりの骨から前突してしまっているような場合もあるため、骨格にトラブルがみられる方は外科的治療も含めた対応が必要になります。

また、部分矯正によって歯列がアンバランスになってしまうようなケースにも注意が必要です。上下の前歯のみ噛み合うが、それ以外の歯が噛み合わなくなるような例にも注意して治療計画を立てていかなければなりません。

関連記事:歯列矯正が難しいケースもある?簡単なケースと併せて紹介

前歯だけの歯列矯正の治療費用

前歯のみの歯列矯正は、30〜40万円程度が相場です。全顎矯正よりも費用が抑えられ、クリニックによってはカウンセリングや検査にかかる費用が含まれているところもあります。

費用の内訳は以下のとおりです。

【部分矯正の費用内訳】

  • ・カウンセリング料
  • ・精密検査・画像診断料
  • ・虫歯・歯周病の治療費
  • ・抜歯費用
  • ・矯正治療費
  • ・保定器具費
  • ・その他

部分矯正では、カウンセリング・精密検査(画像診断)までが全顎矯正と共通しています。虫歯や歯周病があればその治療を先に行い、歯を移動させるスペースを確保しなければならないときは抜歯が必要になります。

矯正治療に入ってからは、歯の移動に器具を取り替えたりワイヤーを締めなおしたりする治療費がかかり、その後保定に使われるリテーナーの費用と診察料がかかります。

その他の項目として、通院までの交通費や自宅でのケアに必要な歯磨き粉・歯ブラシの代金も治療とは別にかかります。

関連記事:歯列矯正にかかる費用はどのくらい?各種矯正の相場について紹介

部分矯正に使う矯正器具の種類と特徴

部分矯正に使う矯正器具には、マウスピースとワイヤーの2タイプがあります。それぞれの器具の種類と特徴をチェックしていきましょう。

方法①マウスピース矯正

マウスピース矯正は、歯の上に被せて覆うタイプのマウスピース型の矯正器具です。透明で、歯と歯でものを噛んでも破損しない耐久性のある素材が使われています。

部分矯正では、犬歯と犬歯の間にある歯にのみマウスピースを装着するので、奥歯までの装着は必要ありません。犬歯より奥の歯には締め付け感がなく、前歯のマウスピースも食事や歯磨き時に取り外しが可能です。

方法②ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる小さな金属の板にワイヤーを通し、ワイヤーを締めて歯を動かす方法です。

マウスピースと違って取り外しができないため、前歯だけの部分矯正でもこまめにお口の中をケアしていく必要があります。

取り外しはできませんが、マウスピースよりも力をしっかりとかけながら歯を移動させられるので、マウスピースが適用できない症状にも効果が期待できるでしょう。

関連記事:インビザラインとワイヤー矯正はどっちがおすすめ?違いを徹底解説

前歯だけの歯列矯正に要する治療期間

前歯のみの歯列矯正は、数ヶ月〜1年半程度の期間がかかります。症状によっては1年以上じっくりと歯を移動させなければならないため、少しでも早く治療を終えたい方は、早めに病院選びとカウンセリングを受けておきましょう。

カウンセリングの後は精密検査に入ります。カウンセリングと精密検査を別の日に行う場合、予約状況によっては空きがなく待たなければならないため、事前に矯正治療を希望していることを伝えておきましょう。

精密検査の後にお口の中の検査・クリーニングまでを行っておけば、次の診察日までにお口の中をきれいに整えておけます。ただしお口の中の検査によって虫歯や歯周病が見つかったときはそちらの治療を先に行うため、矯正期間が延びてしまう点に注意が必要です。

矯正治療が数ヶ月〜1年半程度かかったあとは、同程度の日数を保定期間に費やします。1年半の矯正期間であれば保定にも1年半程度をかけて、合計で3年の治療年数になります。

関連記事:歯列矯正にかかる期間の目安・治療期間と短くするためのポイント

部分矯正の治療の流れ

部分矯正の治療の流れは、全顎矯正と基本的には同じです。全顎矯正と違い、治療全体に時間がかからないため、一つひとつのプロセスが短く済むメリットがあります。詳しい流れを確認していきましょう。

①カウンセリングを受ける

前歯に関する症状について、矯正治療の専門医やかかりつけのクリニックに相談しましょう。治療前に必ず部分矯正を考えていることを伝え、部分矯正に対応してくれるクリニックに相談を行ってください。

クリニックの方針、医師の判断によっては全顎矯正を勧められる場合がありますが、部分矯正で対応してほしいという要望はしっかりと伝えておく必要があります。

部分矯正の実績が豊富なクリニックであれば、丁寧に希望や要望をきいてくれるでしょう。

②精密検査を受ける

次に、患者さんのお口の中を精密検査でチェックします。レントゲン・歯科用CT・口の中や顔貌の写真撮影・歯のモデリングのための3Dスキャンを実施し、歯のバランスや全体的な状態を確認します。

画像診断は口の中の状態を判断するために行われるもののため、部分矯正を希望していてもお口の中の全体写真を撮影します。精密検査で部分矯正が可能と判断されれば、結果の説明と治療計画に関する話し合いへと進みます。

③治療方針を決める

画像診断の結果に合わせて、治療方針を決めていきます。部分矯正の方法には、ワイヤーを使った表側矯正・裏側矯正のほかにマウスピース型の治療も受けられます。

部分矯正ができない場合はその理由も合わせて説明してもらえますので、詳細をよく聞いて治療方針を決めましょう。

④治療を開始する

部分矯正が可能と判断され、治療に納得できたらいよいよ治療に入ります。治療ではワイヤーとマウスピースのどちらかが使われ、治療方針に沿ってスケジューリングを行い、計画的に進めていきます。

全顎矯正ほどの手間はかかりませんが、治療の経過は1ヶ月に1回程度のペースでチェックしなければなりません。自宅での虫歯や歯周病ケアも全顎矯正と同様に行うことが大切です。

⑤保定する

矯正期間が終了したあとは、保定期間に入ります。保定は「後戻り」と呼ばれる現象を防ぐために、移動させた歯を固定する目的で行われます。

基本的に、矯正治療にかかった期間と同程度の期間を費やす必要があるため、矯正治療で1年かかった場合は1年の保定期間が必要です。

保定にはリテーナーと呼ばれるマウスピース型の器具を使います。マウスピースタイプのリテーナーを決められた時間装着し、すべての保定期間が終了すれば矯正治療全体が終了します。

関連記事:インビザライン矯正の後に必要な保定期間の目的・期間の目安と注意点

部分矯正の適用は検査結果とクリニック選びが重要

今回は、部分矯正の内容や適用できる症状、治療期間について紹介しました。矯正治療にはさまざまな方法があり、部分矯正も選択肢の一つに入ります。自由診療にはなりますが、費用が高額になりすぎないため、前歯の気になる部分を治療したい方におすすめです。

クリニックによっては対応していない、または全顎矯正を勧めるケースがありますので、部分矯正に可能なかぎり対応してくれるクリニックを慎重に選び、精密検査の結果も踏まえて矯正治療の方向性を決めていきましょう。

ぜひ渋谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」へご相談ください。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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