口ゴボはほうれい線が目立つ原因になる?現役矯正歯科医師が徹底解説
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医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
日本人に比較的多く見られる「口ゴボ」。
特徴的な顔貌を呈することから、顔や口元のコンプレックスになりやすいです。
さらに口ゴボは「ほうれい線」を目立たせる原因になるという話を耳にすることもありますよね。
今回はそんな口ゴボとほうれい線の関係性やそれらを治す改善する方法について、現役矯正歯科医師がわかりやすく解説します。
口ゴボとは?

まずは「口ゴボ」についてです。
口ゴボというのは、医学的な専門用語ではなく、SNSから生まれた流行語のようなものです。
いつしか定着して、出っ歯や受け口などと同じように市民権を得ているのが現状です。
口元がゴボっと膨らんでいる顔立ち
口ゴボとは、文字通り口元が“ゴボッ”と膨らんでいる顔立ち、あるいは歯並びです。
その背景には、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」や「上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)」といった歯並び・噛み合わせの異常が潜んでいます。
上顎前突は出っ歯で、上の前歯もしくは上の顎が前方に突出している状態で、上下顎前突は、下にも同様の症状が見られるケースを指します。
どちらも口ゴボの原因になり得るのですが、後者の方が口元の突出感が強くなる傾向にあります。
口ゴボは顔の印象を悪くする?
矯正歯科には、口ゴボの症状を主訴として来院される方が多いです。
それは口ゴボが顔の印象を大きく左右するものだからです。
具体的には、次のような見た目の印象を受けます。
- 人中が長い(鼻の下が伸びたように見える)
- Eラインが崩れて見える
- 口唇が前に出ている
- 顎が小さく見える
口ゴボに悩まされている方なら、いずれかの症状が認められることかと思います。
とくに美容への関心が高い方は、Eラインが崩れて見える点に大きな不満を感じているかもしれませんね。
Eラインとは、エステティックラインの略称で、横顔の美しさの指標とも言える線です。
口ゴボでは、そのラインが顕著に悪くなるため、矯正によって改善をしたいと望まれる方が多いのです。
関連記事:歯列矯正でeラインを引っ込めることで口元は変えられる?現役矯正歯科院長が徹底解説!
口ゴボはほうれい線の原因になる?

続いて、今回のテーマである「ほうれい線」についてです。
結論からいうと、口ゴボはほうれい線の原因になることがあります。それは次に挙げるような理由からです。
- 口元と頬の境界が目立ちやすい
- 口呼吸による口輪筋の衰え
- 噛み合わせの異常による筋肉や骨への悪影響
口元と頬の境界が目立ちやすい
口元が盛り上がっている口ゴボでは、顔の構造上、頬との境目が目立ちやすくなります。
これは多くの口ゴボの方に見られる症状でしょう。
口呼吸による口輪筋の衰え
口ゴボには口呼吸を伴いやすく、お口を閉じるための口輪筋(こうりんきん)が弛緩する傾向にあります。
筋肉が衰えるとその周りの皮膚のシワやたるみが目立つようになりますよね。
口ゴボでほうれい線が目立つのもそうした現象のひとつといえます。
関連記事:歯並びと口呼吸の関係とは?鼻呼吸への改善方法も解説
噛み合わせの異常による筋肉や骨への悪影響
口ゴボにはほぼ間違いなく噛み合わせの異常も伴います。
とりわけ前歯部は上下で正常に噛み合うことがないため、お口周りの筋肉や骨格に不適切な負担がかかり、顔の輪郭を歪ませることがあるのです。
その結果として、ほうれい線が目立つこともあり得ます。
口ゴボを治すための矯正治療法

口ゴボの症状は、矯正歯科での治療で改善することが可能です。
ひと言で矯正治療と言ってもさまざまな種類があり、適応症もそれぞれでことなりますが、当院では口ゴボに対して以下の4つの方法をおすすめしております。
- 裏側矯正
- 表側矯正
- マウスピース型矯正(インビザライン)
- 部分矯正
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正とは、ブラケットとワイヤーを歯列の裏側に装着する治療法です。
専門的には舌側矯正(ぜっそくきょうせい)と呼ばれることもあります。
矯正装置が歯列の裏側についているため、歯並びの治療中であることに気付かれにくいです。
何よりも前歯が前方に出ている口ゴボの症例を治しやすいというメリットがあります。
歯列矯正では、装置がついている方に歯を動かしやすいです。
つまり、裏側矯正は歯を引っ張る力が内側に働きやすいことから、前に飛び出た前歯を引き込みやすくなっているのです。
上の前歯だけが出ている口ゴボであれば、「ハーフリンガル」という手法でも十分に治療できます。
ハーフリンガルなら、下の装置は表側に装着するため、費用を少し抑えることが可能です。
上下顎前突が原因の口ゴボの場合は、上下ともに裏側に装置をつける「フルリンガル」がおすすめといえます。
表側矯正
表側矯正は、もっともスタンダードな歯列矯正法です。ブラケットとワイヤーを歯列の表側に装着します。
装置は少し目立ちますが、ほぼすべての症例に適応できます。
口ゴボの多くも表側矯正で治せることでしょう。
マウスピース型矯正

口ゴボの症状は、マウスピース型矯正でも改善できます。
透明なポリアクリル製のマウスピースを使う矯正法で、見た目が気になりません。
食事や歯磨きを普段通りに行える、歯の移動に伴う痛みが少ない、装置がお口の粘膜を傷付けるおそれがない、装着感が良好、といったメリットがあります。
当院で取り扱っているマウスピース型矯正の「インビザライン」なら、次のような処置が必要な口ゴボの症例でも問題なく対応できます。
- 抜歯をする(便宜抜歯)
- 歯を薄く削る(ディスキング)
- 奥歯を後ろに下げる
- 歯列の幅を広げる
こうした処置が可能なインビザラインは、出っ歯や上下顎前突の治療に適した矯正法といえます。
部分矯正
口ゴボは、前歯の傾きや位置の異常が原因となっていることも珍しくありません。
そうした部分的な歯並びの問題は、部分矯正で対応できる場合もあります。
例えば、口ゴボの原因となっている前歯部だけにブラケットとワイヤーを装着すれば、矯正にかかる費用を大幅に減らせます。
歯並びを正常化させるまでにかかる期間も短いことから、患者さまの心身にかかる負担を最小限に抑えられます。
ただし、部分矯正は全体矯正よりも適応範囲が狭く、口ゴボの症状によっては標準的なワイヤー矯正やマウスピース矯正を提案させていただくこともありますので、その点はご了承ください。
矯正治療が原因でほうれい線が余計目立つリスクはある?

矯正治療には、ほうれい線の症状を強めるリスクがあります。それは矯正中と矯正後で起こり得ます。
【矯正中】装置による口元の突出
歯列の表側にブラケットとワイヤーを装着する表側矯正では、治療期間中に口元の突出感が強くなる場合があります。
実際に装置を装着してみるとわかりますが、ブラケットにはそれなりの厚みがありますよね。
マウスピース型矯正は比較的薄い装置を使うのですが、それでもやはり口元はやや厚くなります。
その結果、口元と頬の境目が強調されてほうれい線が目立つこともあるのです。
【矯正中】前歯を一時的に前傾させることがある
矯正治療では、便宜上、前歯を一時的に前方へと傾斜させることがあります。
例えば、ハーフリンガルの場合は、上の装置が裏側で、下の装置は表側についていることから、そのまま噛むと上下で接触してしまいます。
症状が強い場合は、そしゃく機能に大きな悪影響が及ぶため、前歯を少しの間、前に倒して治療を進めていきます。
そうしたケースでも矯正中にほうれい線の症状が目立つことがあります。
【矯正後】抜歯をしたケース
スペースの不足が著しいケースでは、口ゴボを治すために抜歯をする必要があります。
一般的には前から4番目もしくは5番目の小臼歯(しょうきゅうし)を上下左右、合計で4本抜いて不足しているスペースを作り出します。
小臼歯の頭の部分は1本で7~8mmくらいあるので、片側の顎の2本を抜いただけでも歯列全体はそれなりに後ろへと下がりますよね。
その結果として、口周りの皮膚の状態が変化してほうれい線が目立つこともあるのです。
ただ、こうした変化は頻繁に起こるものではなく、どちらかというと珍しいケースといえるでしょう。
他にほうれい線を治す手段はある?

ここまでは、口ゴボが原因となっているほうれい線を歯列矯正で治す方法について解説してきましたが、その他に手段はないのかも気になるところですね。
一般的なほうれい線の改善方法としては、以下の4つが挙げられます。
- スキンケアをしっかり行う
- 顔の筋肉のエクササイズ
- 生活習慣の見直し
- 皮膚科での治療
スキンケアをしっかり行う
肌の乾燥は、ほうれい線を目立たせる要因の一つです。毎日の保湿を欠かさず、UV対策も行うことが大切です。
また、抗酸化物質を含むスキンケア製品やレチノイド(ビタミンA誘導体)を使うと、肌のコラーゲン生成を助けることができます。
顔の筋肉のエクササイズ
顔の筋肉を動かすエクササイズがあります。
たとえば、口角を上げる運動や、頬をふくらませる運動などを毎日行うことで、顔の筋肉を鍛えることができます。
これにより皮膚のたるみを防ぎ、ほうれい線の深さを減らすことが可能です。
生活習慣の見直し
健康的な食事、十分な睡眠、ストレスの管理、喫煙とアルコールの適量摂取などの生活習慣の改善も大切です。
これらは全体的な健康状態に影響を与えるとともに、肌の健康にも直接影響します。
皮膚科での治療
皮膚科での治療も選択肢の一つです。
ヒアルロン酸注射やボトックス、レーザー治療、サーマージ(高周波治療)などがあります。
これらの治療は、ほうれい線を直接的に改善する効果がありますが、持続性はそれぞれ異なり、定期的な施術が必要な場合が多いです。
上記の方法は、いずれもほうれい線への“対症療法”です。
ほうれい線が一時的に目立たなくなることはありますが、口ゴボを根本的に改善することは難しく、その効果も限定的です。
そのため、口ゴボによるほうれい線をしっかりと治したい場合は、やはり歯列矯正が最善といえます。
もちろん、スキンケアや顔の筋肉のエクササイズ、生活習慣の改善等は継続的に行うことが望ましいです。
それとは別に歯列矯正という原因療法を併用することで、ほうれい線という深刻な悩みを根本から取り除けるのです。
まとめ
今回は、口ゴボが原因でほうれい線が目立つようになる理由と矯正治療によって改善する方法について、渋谷ルーブル歯科・矯正歯科が解説をしました。
口ゴボの背景には、上顎前突や上下顎前突といった歯列不正・不正咬合が潜んでいるケースがほとんどであり、矯正によって治すメリットは極めて大きいです。
お顔の見た目だけではなく、そしゃく機能や発音機能、呼吸機能を正常化するためにも、口ゴボは早期に改善するのが望ましいと言えます。
渋谷で口ゴボの治療を検討中であれば、ぜひ渋谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」の無料カウンセリングへご相談ください。
まずはていねいにカウンセリングいたします。
この記事を監修した人

医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
【略歴】
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- しんファミリー歯科 矯正監修
- 大手審美歯科クリニック 代診勤務医
- 医療法人清翔会 エスカ歯科・矯正歯科 院長就任
- 渋谷ルーブル歯科・矯正歯科 独立開業
- 医療法人社団 ルーブル設立 理事長就任
- 新宿ルーブル歯科・矯正歯科 開業
【所属団体】
- インビザライン社公認 ダイヤモンドプロバイダー
- インビザライン(マウスピース矯正)認定医
- インコグニート舌側矯正 認定医
- winシステム舌側矯正 認定医
- 日本矯正歯科学会 所属
- 日本成人矯正歯科学会 所属
- 日本顎咬合学会 所属
- 日本外傷歯学会 認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 所属
- 日本歯科審美学会 所属 他多数