インビザラインは、専用のシミュレーションシステムを使いマウスピースで歯列矯正を行っていく治療方法です。 手軽に脱着できる装置のためワイヤー矯正よりも痛みが少なく、シミュレーションで歯の動きを確認できる方法ですが、矯正治療の前に「正しい嚙み合わせ」を把握しておくことが大切です。
この記事では、正しい噛み合わせに関するポイントとインビザライン矯正の目的や方法、矯正中に噛み合わせが悪くなってしまう原因と対処法について紹介します。
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正しい噛み合わせとは
正しい噛み合わせとは、口を自然と閉じた際に奥歯がしっかりと嚙み合い、下の前歯が上の前歯よりもやや内側にある状態です。 左右の奥歯がしっかりと当たっておりどこかが不自然に浮いていないこと、犬歯以外の前歯が強く嚙み合いすぎていないことがポイントになります。
両側が噛み合わせられているかどうかを判断するには、割り箸のような直線で平面状のものを横にして、両方の奥歯(同じ歯)で同時に噛み、どちらでもしっかりと固定できているかを確認します。左右のどちらかが浮いたり揺れたりした場合は、噛み合わせが悪いと判断できます。
嚙み合わせが悪い状態というのは、具体的には以下のような状態です。
【噛み合わせが悪い状態】
- ・歯茎の上から歯が生えている
- ・重なり合っている歯がある
- ・唇がうまく閉じられない
- ・横から見て顎や歯が前に出ている
このような悪い噛み合わせがなければ、正しい噛み合わせになっていると判断できます。
インビザライン矯正とは
インビザラインとは、アライナーと呼ばれるマウスピースを使って歯を移動させていく矯正治療方法です。世界的に広く活用されている方法で、軽度から中程度までであれば幅広い症例に対応できるとされています。 簡単な噛み合わせの改善からお子さんの歯の成長サポートまで、年齢を問わず受けられるのもインビザラインのメリットです。
関連記事:インビザライン矯正とは?治療ができない人の特徴や代わりの治療法
インビザライン矯正中に嚙み合わせが悪くなる原因
インビザライン矯正ではインビザラインシステムを使って最適な嚙み合わせを確認してから治療に入りますが、いくつかの原因によって矯正中に噛み合わせが悪くなる場合があります。どのような原因が考えられるのか、詳しくみていきましょう。
原因①マウスピースを正しく装着していない
マウスピース(アライナー)を正しく装着していないために、矯正の効果が現れないケースです。
アライナーは自分で取り外しができるので、正しく装着したか確認するのを忘れてしまい、矯正治療に影響する場合もあります。また、「アライナーをつけると歯が痛いから」といって、少し外した状態や浮かせた状態にしないように注意が必要です。
原因②マウスピースの装着時間が短い
矯正治療中、装着に必要な時間は1日あたり20時間以上が目安になります。インビザライン以外のマウスピース矯正も同様に、連続装着時間が長いほど効果が現れてきます。
歯磨きや飲食の最中は取り外しができますが、それ以外にも写真撮影などで一時的に取り外すことがあるかもしれません。時間を忘れて外したままにしないように注意しましょう。
原因③マウスピースに変形や破損がある
マウスピースに経年劣化や熱などが加わると破損や変形をきたす場合があります。インビザラインに使われるアライナーも同じく、本来の形状や機能が発揮できない場合は装着を避けてください。 古くなったものや破損・破れなどがみられるアライナーは、すぐにかかりつけのクリニックへ連絡し、新しいものに作り替えてもらいましょう。
原因④マウスピースの交換時期を守れていない
マウスピース矯正では、使用しているマウスピースを定期的に交換しなければなりません。タイミングは患者さんごとに設定されていますので、必ず決められた時期にクリニックを受診し、交換を行ってください。
原因⑤歯ぎしりや食いしばりの癖がある
就寝中の歯ぎしり・食いしばりの癖があると、歯がすり減ったりアライナーの破損を招いたりといった影響が出てきます。装置の破損がひどい場合はワイヤー矯正に変更するなど、癖に応じた対処が必要になります。
原因⑥治療過程で歯が動いている
治療の過程で歯が正しい方向に動いているため、左右の噛み合わせが整わないことがあります。これは矯正に失敗したのではなく誰にでも起こる変化であり、そのまま治療を続けて問題ありません。
原因⑦シミュレーション通りに歯が動いていない
お口の中は複雑な構造をしており、インビザラインシステムでシミュレートとした通りに歯が動いていないケースもあります。 そのような場合は普段の過ごし方や矯正の状態を確認し、再度シミュレートをし直して、設定したゴールに辿りつけるように計画を立て直さなければなりません。
原因⑧クロスバイト(交叉咬合)である
クロスバイト(交叉咬合)と呼ばれる状態は、は上下の歯列のうち歯が本来の位置関係とは反対になっている状態です。 上顎の歯列は下顎の歯列を覆うようなかたちで生えていますが、クロスバイトではこれが逆になっているため、下の歯が上の歯を覆うように生えています。
クロスバイトにインビザライン矯正を行うと、治療中に前歯が移動してぶつかり合うことがあります。原因⑥と同じような症状ですが、治療が進むにつれて改善していくと考えられます。
原因⑨インビザライン矯正では対応が難しい症例である
インビザライン矯正だけでは対応が難しい症例もあります。歯が中程度以上の不正咬合である、または顎や歯茎に外科的治療が必要といったケースです。 インビザラインだけできれいな口元に整えられなければ、手術も含めていくつかの治療方法を検討する必要があります。
インビザライン矯正中に噛み合わせが悪くなった時の対処法
インビザライン矯正で噛み合わせが悪くなったときは、どのように対処すべきなのでしょうか。ここからは、8タイプの対処方法についてみていきましょう。
対処法①歯科医師に相談する
まずは歯科医師に相談し、インビザライン治療が適切なのかを話し合ってみてください。インビザラインによって、噛み合わせがかえって悪くなるようであれば、ワイヤー矯正やその他の治療方法を検討します。
対処法②マウスピースを正しく装着する
マウスピースは正しく装着しましょう。ずれや不十分な装着のままでは、歯を移動させるペースが遅くなったり、一部の歯のみがしっかり動いてしまったりと、治療の状況を左右してしまいます。 マウスピースの装着がずれていないかどうかは、4〜6週間に一度の通院時にチェックし、常に正しく装着するよう心掛けてみてください。
対処法③決められた装着時間を守る
装着時間をきちんと守れているかも、改めて振り返ってみてください。マウスピース矯正は1日あたり20時間以上の装着が必要になります。
対処法④マウスピースの調整・交換を依頼する
マウスピース(アライナー)が矯正治療に適した状態かを確認しましょう。長く装着していると摩耗し、歯を移動させるために十分な強度が確保できなくなるおそれがあります。 古いものは新しいものへ交換し、歯の移動がうまく行えないものについては、破損がなくても調整に出しておきましょう。
対処法⑤変形や破損のあるマウスピースを装着しない
治療に使うマウスピース(アライナー)に変形や破損があると、正しく装着を続けていても破損した箇所を中心に理想の結果に繋がらない可能性があります。少しでも形や装着感がおかしいと感じたら、クリニックにご相談ください。
対処法⑥アライナーチューイーを使用する
アライナーチューイーはマウスピースの装着中に、歯にしっかりと密着させるための器具です。チューイーには「噛む」という意味があり、マウスピースを装着した状態で前歯から順番に噛んでいき、歯に装置を密着させていきます。 インビザライン矯正を成功させるためには歯にアライナーが密着していなければならないため、アライナーチューイーを活用しましょう。
対処法⑦顎間ゴムの使用を検討する
顎間ゴム(がくかんごむ)とは、エラスティック・エラスティックバンドとも呼ばれる矯正器具の補助装置です。 ワイヤー矯正だけでは歯間や顎のズレが発生する可能性がある場合、ゴムかけと呼ばれる治療で顎間ゴムを矯正装置の中に取り付けます。インビザラインだけで十分な効果がえられない場合は顎間ゴムの使用を検討してください。
関連記事:インビザライン矯正のゴムかけとは?効果ややり方のポイントを解説
対処法⑧部分的にワイヤー矯正する
インビザライン矯正が進み、ある程度歯列が揃ったところで、整った部分を除いてワイヤー矯正(部分矯正)を検討することもできます。 ただし、途中からワイヤー矯正に変更できるかどうかはクリニックや医師の判断、治療方針にもよりますので、よく話し合って治療方法を検討しましょう。
失敗のリスクを踏まえて理想の噛み合わせを目指す
今回は、矯正治療が必要かどうかを判断するための正しい噛み合わせのポイントと、インビザライン矯正によって噛み合わせが悪くなる原因・対処法を紹介しました。
マウスピース矯正中、少しでも噛み合わせに不自然な点がみられた場合は、すぐにかかりつけのクリニックにご相談ください。 理想の歯並びを目指すためには、信頼のできるクリニックや治療法を選ぶことが重要ですが、患者さんご自身でもスケジュールに沿って正しくアライナーを装着し、定期検診や交換を続けていくことが大切です。噛み合わせが悪くなる原因についても、治療の参考にしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ渋谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」へご相談ください。
この記事を監修した人
医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
【略歴】
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- しんファミリー歯科 矯正監修
- 大手審美歯科クリニック 代診勤務医
- 医療法人清翔会 エスカ歯科・矯正歯科 院長就任
- 渋谷ルーブル歯科・矯正歯科 独立開業
- 医療法人社団 ルーブル設立 理事長就任
- 新宿ルーブル歯科・矯正歯科 開業
【所属団体】
- インビザライン社公認 ダイヤモンドプロバイダー
- インビザライン(マウスピース矯正)認定医
- インコグニート舌側矯正 認定医
- winシステム舌側矯正 認定医
- 日本矯正歯科学会 所属
- 日本成人矯正歯科学会 所属
- 日本顎咬合学会 所属
- 日本外傷歯学会 認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 所属
- 日本歯科審美学会 所属 他多数