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歯列矯正で抜歯は絶対に必要?抜くメリット・デメリットについて

今回は矯正医から見た、抜歯・非抜歯の基準についてお話をしていこうと思います。

矯正歯科に矯正の相談に行かれた際に、「○○さんの場合はアゴが小さいので矯正治療する場合は抜歯が必要ですよ。」と言われた事があると思います。

実際に矯正相談にご来院される患者さんで、歯列矯正のカウンセリングに2件行って一つ矯正歯科では抜歯矯正、一つは非抜歯矯正、結局はどっちがいいの?と質問される患者さんが多いです。

 

矯正治療における抜歯・非抜歯の判断基準は矯正歯科医の中でも定まっておりませんので、今回その抜歯・非抜歯治療の半基準について詳しくお話していこうと思います。

ご自身の歯を抜きたくない人は是非このブログを読んで頂けたらと思います。

矯正をするなら抜歯はするべき?

まず結論から言うと、抜歯矯正非抜歯矯正どちらが正しいなどありません。

この、抜歯・非抜歯矯正の論争は100年前からずっと行われており、令和現代になってもこの答えは出ていないです。

同じ症例でも抜歯派の矯正医の先生もいれば、非抜歯派の先生もいます。学んできた環境、治療、経験で抜歯にするのか、非抜歯矯正にするのか分かれます。

抜歯矯正も非抜歯矯正もそれぞれ良い点・悪い点があります。

ただ僕が一つお伝えしたいのは、抜歯をせずに矯正治療が可能なら、出来る限り非抜歯で矯正治療することを推奨します。

関連記事:歯列矯正で抜歯をする症例とは?抜歯しなくても矯正治療はできる?

       

厚生労働省が担っている歯科疾患実態調査の8020運動(80歳で20本以上の歯を残す運動)を達成するためにはできる限り歯を抜かない方がいいかと思います。

しかし矯正分析では抜歯矯正が推奨されるのに、それでも歯を抜かずに非抜歯矯正を選択するとトラブル招いてしまう事になります。

関連記事:矯正歯科で遭遇しやすいトラブルと予防のため相談時に確認したいこと

なので今回はこのブログを読んでいただいてる方に、なぜ抜歯をしなくてはならないかその判断基準をお伝えしていきます

抜歯が必要とされるケース

1.前歯に叢生(ガタガタ)があり、アゴが小さくて歯が大きい

歯列(あご)の大きさは、大人ではもう成長しません。

歯列の長さに対して、歯の横幅の方が大きいと歯はあごに収まらずうまく並ばないです。

なのであごを大きくする事が出来ないのであれば、抜歯をする事になります。

余談になりますが、矯正治療を子どもの頃からされている方が多いと思いますが

なぜ、子どもの時期から矯正治療を行う方がいいかというと、子どもの時期はあごの成長がまだ残っているので成長に合わせてアゴの大きくすることで

歯がきれいに並ぶスペースを作ることができるからです。あごを大きくしながら歯を並べるのが子どもの矯正治療になります。

大人の治療は、歯が並ぶスペースが足りないので抜歯することで歯が並ぶスペースを作り矯正していきます。

 

2.骨格で長さや大きさに差がある

上あごが前方に出ていて下あごが後方に下がってズレている人は、噛み合わせを作るために抜歯が必要な可能性があります

上あごが前方に大きく突出している場合、下あごを前方に突出させ噛み合わせを作るのは難しいです。

なので上あごの歯を抜き、上あごの前歯を後方移動させ噛み合わせ作ります。

このように上あご、下あごで骨格に差がある症例では抜歯が必要になります。

 

3.口元の審美性を目的とする方

口元の印象には歯や骨格が深く関係してきます。

歯が突出している人は、口が閉じにくいため唇を閉じているのに歯が見えてしまいます。

このような状態を口唇閉鎖不全といいます。

口唇閉鎖不全だと口腔内が外気に触れる事が多く、結果口腔内が乾燥してしまい口の中の虫歯菌や歯周病菌などの細菌が増え、疾患を引き起こします。

また口腔内の細菌が増えることで口臭の原因にも繋がります。

また口呼吸になりやすく風邪をひきやすい、のどが腫れるなど健康被害にも直結するので口が閉じにくい方は注意が必要です。

 

抜歯が必要とされるケースの小まとめ

歯が突出している人は抜歯をしてなるべく前歯を後ろに下げることにより口元の突出感を減らしキレイな横顔の口元を作る事が出来ます。

上記に当てはまるからと言って必ずしも抜歯矯正でなければならないということはありません。

抜歯はあくまでもスペースを作る為の一つの手段でしかないので、歯を並べる時に抜歯以外でスペースさえ確保できれば抜歯避けられる可能性はあります。

 

歯のスペースを得る方法には何がある?

1.抜歯

歯列矯正で抜歯する歯として第一選択になるのが小臼歯抜歯です。小臼歯とは歯列の真ん中あたり前から数えて4番目5番目の少し小さい中間の歯のことです。

平均の小臼歯の大きさは7~8㎜と言われこの歯を抜歯することでスペースを獲得します。

親知らずを抜歯しての矯正治療を抜歯矯正と言ったりもしますが親知らずの抜歯はのちに説明する遠心移動の項目になります。

 

2.IPR(ディスキング・スライス)

歯の表層のエナメル質の両端を削り歯を小さくしてスペースを作る方法になります。

歯自体の大きさを両端0.25mm程削る事により歯を小さくなります。

アゴが小さければそこに並ぶ歯も小さくすれば綺麗に歯列が整います。

 

3.前方拡大・側方拡大

これは歯列のアーチを横に拡大したり前方に拡大することでスペースを作ります。

歯列のアーチ自体を大きくする事により、歯がしっかりと並べられて配列される状況を作ります。

ただし上記でも説明しましたが、大人になってからはアゴが拡大されないので、実際の動きとしては歯自体が少し外側に傾斜して移動するだけになります。

なので拡大する時に注意が必要で歯は骨がある位置までしか動かせないので無理にスペースを作ろうとして骨のラインを超えてしまうと、

今度は歯の根っこが骨の外に飛び出てしまい歯肉退縮の原因につながります。

なので三次元的なレントゲン写真のCTから、骨の位置や歯の拡大できる数値を計算して何mmまで拡大するかを決めてスペースを作るようにしなければいけません。

 

4.遠心移動

遠心移動とは歯を後方にアーチごと下げる方法になります。

親知らずを抜いて親知らずが生えていた位置まで後方に移動させスペースを作ります。

ただし、日本人は頭の大きさが前後的に短いので

外国の方だと後方に5mm以上移動できますが、日本の方だと5mm下げられる方は少ないです。

下げられても大体2mmから3mmぐらいだと思います。

 

歯のスペースを得る方法の小まとめ

歯を削り、歯を後方に下げ、アーチを横に拡大してスペースを作れば抜歯を回避出来るケースもあります。

ただし非抜歯で並べると、口元が膨らんでゴリラ顔になったり、無理やり横に広げることで歯の根っこが出てくる場合もあります。

なので、骨格の大きさ、上下アゴの長さ、歯の幅径を全部調べてもらい、矯正の先生と相談してみるといいと思います。

全体のまとめ

矯正治療は抜歯・非抜歯どちらがいいのか、なんとなく非抜歯の方が良い治療なんじゃないの?と皆さん思われると思いますが

矯正医からすると抜歯・非抜歯どちらも大丈夫ですがまず抜歯を回避出来る方法はないかっていうのを一つ考えます。

ヒアリングして、骨の写真や数値を出し、患者さんが納得する治療法を選択すればいいと考えています。

その次に、削りです。

ガタツキの度合い、アゴの大きさ、歯の大きさを数字的に見て、CT写真、パノラマ写真、横顔の比較写真を全部計算・分析をさせてもらって、後ろに下げる、アーチを拡大するだけだと足りない場合に削りを考え、それでも足りない場合は抜歯をします。

あとは、患者さんの要望です。

患者さんにとって矯正治療は、見た目、口元がメインです。

僕ら矯正医は噛み合わせ、歯が残る事がメインです。

ですが、患者さんの気持ちも分からなくもないので、抜歯をするししないを決めます。

皆さんは2軒、3軒矯正相談に行っていると思いますが、抜歯・非抜歯で悩むのではなくて、しっかり先生とお話しして決めてもらうのが一番いいと思います。

気になる方は渋谷駅すぐの矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」の無料カウンセリングへご相談ください。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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