「1日で歯が真っ白になる」「ガタガタだった歯並びが一瞬で綺麗になる」
このような効果を得られるのがセラミック矯正です。名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
セラミック矯正をすれば、歯は綺麗になります。一方で、リスクも伴っている事実も忘れてはいけません。
今回は実際にセラミック矯正を手がけたこともある矯正歯科医師が、セラミック矯正について詳しく解説していきます。
メリットやデメリットはもちろん、どんな人が向いているかも紹介します。
セラミック矯正を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
セラミック矯正とは
セラミック矯正とは、セラミック治療と矯正治療の両方を指します。
実は、「セラミック矯正」という言葉はありません。
某大手審美歯科医院さんがセラミックで前歯を綺麗にすることをセラミック矯正と言って広告を打ち、広まった経緯があります。
他にもスピード矯正やクイック矯正という言葉もありますが、セラミック矯正と同様に存在していません。造語のようなものです。
では、セラミック治療とはどういった治療になるのでしょうか。次の項目で詳しく見ていきましょう。
セラミック治療とセラミック矯正の違い
セラミック治療とは、虫歯などを削った後に、その歯に対してセラミックの被せものを使って治療する方法を指します。
一方の矯正治療は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などで歯全体に矯正装置を付けて、歯そのものを動かす治療です。
全く違うのがわかりますね。
これらを加味して考えると、セラミック矯正とは、「セラミックの被せものを使って前歯のガタつきを取る矯正」だと認識しておくと良いでしょう。
セラミック矯正のメリット
セラミック矯正にはメリットがたくさんあります。特に以下の4つはセラミック矯正ならではです。
- 1日で綺麗な歯並びになる
- 歯を自分の好きな色でできる
- ホワイトニングが必要なくなる
- 自分の理想的な歯の形にできる
最短1日で綺麗な歯並びになるのは、大きなメリットと言えます。
セラミックを歯に被せることもあって、真っ白な歯はもちろん好きな色にできる点も魅力です。
自分の理想的な歯の形にできる点も、セラミック矯正だからこそできます。
中でも最も理想的なのが、ホワイトニングが必要ない点です。
セラミックは材料の変化がありません。白い歯を入れたら、ずっと白いまま色が保たれます。
綺麗な歯並び+真っ白な歯を簡単に手に入れられるのが、セラミック矯正のメリットです。
セラミック矯正の気をつけたいデメリット
セラミック矯正のメリットを聞くと魅力的に感じてしまいますが、注意したいのがデメリットです。
メリットよりも圧倒的に大事であるため、注意しましょう。
特に以下の5つのデメリットは重要です。
- 歯を絶対に削らないといけない
- 歯の神経を抜いてしまう可能性がある
- 歯自体を抜いてしまう可能性がある
- 1つの歯がダメになると全部の歯がダメになる可能性がある
- 今よりも歯が小さくなる
歯を絶対に削らないといけない
セラミック矯正は、歯を削らないとできません。歯の表層を構成しているエナメル質を削って、セラミックを被せるためです。
削るだけならと思うかもしれませんが、歯は1度でも削ってしまうと、どうしても弱くなってしまいます。
削っている歯と削っていない歯を比べた場合、削っていない歯の方が寿命が長いのです。
歯を削るのは歯を弱くする行為になります。セラミック矯正をすると歯が弱くなると覚えておきましょう。
歯の神経を抜いてしまう可能性がある
セラミック矯正では、歯の神経を抜いてしまう可能性があります。
歯の表面を削る中で、神経が表層まで出てしまった場合に起こります。
神経をそのままにしておくと痛みが出る可能性が高くなるため、神経を抜くのです。
ですが、歯の神経を抜くと、歯の寿命が確定します。血液の栄養供給や水分がなくなり、歯が脆くなってしまうのです。
生花とドライフラワーを思い浮かべると、わかりやすいでしょう。
生花は手で握っても弾力が戻りますが、ドライフラワーはバラバラに砕けてしまいます。
水分が無くなると、歯でも同じことが起こります。強い衝撃や噛み合わせによって歯の根っこが折れ、抜かないといけないリスクを負わなければいけません。
セラミック矯正を受けるにあたって、大きなデメリットの1つと言えます。
歯自体を抜いてしまうケースがある
セラミック矯正は、歯自体を抜いてしまうケースがあります。例えば八重歯やガチャ歯の場合です。
前歯が前後にガタガタしているとセラミックで歯を作っても綺麗に並べられません。
そのため、八重歯を抜いてしまいます。
ですが、八重歯は歯の根っこが1番長い歯です。抜くことで歯全体の噛み合わせが総崩れを起こします。
ジェンガで、重要な部分を抜いたら一気に崩れるのと同じ理屈です。歯でも同じようなことが起こります。
歯を抜くと噛み合わせの治療ができにくくなり、以降の治療にも大きな影響があります。
セラミック矯正で歯を抜くという提案は、論外と言えるでしょう。日常生活に支障を来す大きなデメリットです。
歯が折れやすくなる
セラミック矯正ならではのデメリットとして、歯が折れやすくなるという現象があります。
歯の頭の部分だけ削り、根っこの位置を変えないことが影響しています。
歯は本来、飛び出ている頭の部分と根っこが1つの歯です。
しかしセラミック矯正によって歯の頭を削って新しいセラミックの頭を装着すると、根っこと頭の部分の軸がズレてしまいます。
歯の根っこがあって、頭だけカクンと折れ曲がった状態をイメージしていただければわかりやすいでしょう。
この状態で下の歯が当たると、力が一点に集中してしまって簡単に折れてしまうのです。
特に前歯を内側に入れるような矯正方法をすると起こりやすくなります。
しかもセラミック矯正は、矯正治療と違って大きく歯を動かせません。
口元が突出している方にとっては、「歯が折れてしまうのに矯正できない」という大きなデメリットを抱えることになります。
セラミック矯正は歯が折れやすいデメリットがある点は、必ず覚えておきましょう。
定期的な交換が必要
セラミック矯正には、定期的な交換が必要です。おおよそ10年程度でセラミック矯正をやり替える必要があります。
金額も決して安いものではありません。歯1本で最低でも10万円ほどかかります。
上下の前歯6本だと、合計で120万円が必要となる計算です。
どれだけ良いセラミックを使っていても、自分の歯ではありません。被せものであるからこそ、やり替えが必要になります。
永続的に大きな費用がかかる点は、セラミック矯正ならではのデメリットと言えるでしょう。
また、定期的な交換に加えて以下の点も気をつけなければいけません。
- 1つの歯がダメになると全部の歯がダメになる可能性がある
- 今よりも歯が小さくなる
1つの歯がダメになると全部の歯がダメになる可能性がある
セラミック矯正をする際、ブリッジなどを使って全部の歯を繋いでいた場合、1つの歯がダメになると全ての歯を外さなければいけません。
1ヶ所だけダメになったとしても、その部分だけを再現するのが難しいからです。
形や色など微妙に異なるため、取り替えた部分だけ違和感のある歯になってしまいます。
もちろん、非常に腕の良い技工士さんならば可能です。ただし、非常に稀だと思ってください。
1つでも歯がダメになると、大きな費用をかけて再度全ての歯を作り直す必要がある点を覚えておきましょう。
今よりも歯が小さくなる
セラミック矯正は、今より歯が小さくなります。セラミックを被せるために、歯を削るためです。
中には歯の頭が無くなることも多々あります。怖いと感じる方もいるでしょう。
セラミック矯正は自分の歯が小さくなってしまう方法です。メリットよりもデメリットの方が大きいため、オススメできません。
セラミック矯正がオススメの人
セラミック矯正はデメリットが大きい治療です。基本的にオススメできませんが、一方で、オススメできる方もいます。
特に「手っ取り早く歯を白くしたい方」にはオススメです。代表的な職業だと、芸能関係になります。
自分自身がブランドとなるため、歯並びも重要な要素だからです。
もちろん時間があるのならば矯正治療の方が良いのですが、仕事の関係でどうしても待てない方はセラミック矯正も1つの方法です。
セラミック矯正以外の矯正治療だと、どうしても時間がかかってしまいます。私が得意とするスピード矯正でも、最低1年は必要です。
「1ヶ月~3ヶ月以内にどうしても白い歯が欲しい!」という方だと間に合いません。そうした場合に、セラミック矯正が候補になります。
ただし、今や人生100年時代です。歯と長い期間付き合っていかなくてはいけません。
歯の寿命を縮めるセラミック矯正を受ける際は、慎重に検討してくださいね。
セラミック矯正のために歯の神経を抜くのは論外
セラミック矯正のために歯の神経を抜くケースがあります。先述したように、歯の表層を削る中で提案される可能性があります。
このような場合は、削るのではなく部分矯正を検討してみてください。
部分矯正とは、歯の一部分だけを矯正する治療です。歯全体を矯正するのと比べ、安い価格で早く矯正できます。
歯の軸を良い位置に持っていけば、歯や歯の神経を抜く必要もありません。
部分矯正を入れた上でセラミック矯正をすれば、歯への負担を大きく軽減できます。
セラミック矯正を考えている方は、部分矯正も視野に入れて検討してみてください。
セラミック矯正のために歯を全周削る必要はない
セラミック矯正のために、歯を全周削る必要もありません。なぜなら、審美面を気にする方のほとんどが目指しているのは、前歯の綺麗さだからです。
前歯だけを綺麗にするのであれば、前歯の表層だけを削るラミネートベニアという方法があります。
歯の表層部分であるエナメル質の薄いところだけを削り、歯に被せる方法です。
セラミック矯正と比べ、削る量が圧倒的に少なくなります。歯への負担も大きく軽減できます。
先述した部分矯正と併用すれば、ガタガタの歯並びでセラミック矯正をしたいと考えている方の場合、以下の流れで歯に負担をかけずに矯正可能です。
- 1. 部分矯正を3ヶ月~半年ほど入れる
- 2. 歯が正しい位置に並んだら歯の表層を少し削ってセラミックを被せる
見える部分だけをセラミックで見せる形ですが、まず気になりません。ほとんどの人は、歯の後ろ側まで見ないためです。
歯に負担なく白い歯を手に入れたい方は、このような方法も検討してください。
セラミック矯正でお悩みの方は渋谷ルーブル歯科・矯正歯科へ
セラミック矯正は、メリット以上にデメリットが大きい治療です。そのため、歯科界の中であまり良いイメージを持たれないやり方になっています。
実際、私も若い頃にセラミック矯正をやっていて、患者様からセラミック矯正に関する悩みや不安を多く聞きました。
一方で、セラミック矯正でないと白い歯にできない方もいます。
そのような方の場合、最初からセラミック矯正と考えるのではなく、矯正治療を第一の選択として考えてみてください。
矯正歯科でカウンセリングを受け、納得した上で選択することをオススメします。
もし渋谷でセラミック矯正の相談先を探しているのなら、私が在籍している渋谷ルーブル歯科・矯正歯科へお越しください。
専門知識と技術を持った医師が、患者様一人ひとりに沿った治療を提案いたします。
カウンセリングも無料で行っておりますので、ぜひ1度お気軽にご相談ください。
この記事を監修した人
医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
【略歴】
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- しんファミリー歯科 矯正監修
- 大手審美歯科クリニック 代診勤務医
- 医療法人清翔会 エスカ歯科・矯正歯科 院長就任
- 渋谷ルーブル歯科・矯正歯科 独立開業
- 医療法人社団 ルーブル設立 理事長就任
- 新宿ルーブル歯科・矯正歯科 開業
【所属団体】
- インビザライン社公認 ダイヤモンドプロバイダー
- インビザライン(マウスピース矯正)認定医
- インコグニート舌側矯正 認定医
- winシステム舌側矯正 認定医
- 日本矯正歯科学会 所属
- 日本成人矯正歯科学会 所属
- 日本顎咬合学会 所属
- 日本外傷歯学会 認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 所属
- 日本歯科審美学会 所属 他多数