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矯正歯科における保険適用の可否とは?費用の目安と負担を抑える方法

矯正歯科の治療には、まとまった費用がかかります。
保険を適用して自己負担額を抑えたいと考える方は多いでしょう。
ここで気になるのが保険適用の可否です。最初に結論を示すと、一部の例外を除き矯正治療には保険を適用できません。
具体的に、どのようなケースで保険を適用できるのでしょうか。
ここでは、矯正治療に対する保険適用の可否、治療方法別の費用の目安、経済的な負担を抑える方法などを解説しています。矯正治療を検討している方は参考にしてください。
 

 

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矯正歯科は基本的に保険適応外

歯列矯正を下記で紹介する疾患でない限りは基本的に保険適用外となっております。
保険が適用されるのは病気や緊急性の高い治療に限られているため、矯正治療は保険の適用外とされています。

関連記事:歯列矯正にかかる費用の相場と安く抑えるための4つの方法について

矯正歯科の治療では保険が適用されるのか?

日本はすべての国民が公的医療保険に加入する国民皆保険制度を採用しています。
具体的な自己負担割合は年齢などにより異なりますが、基本的には1~3割負担で誰でもさまざまな治療を受けられます。
ただし、全ての治療に保険を適用できるわけではありません。

矯正治療は保険を適用できない自由診療に分類されます。
したがって、自己負担割合は10割(全額)です。
ただし、一部の症例は矯正治療にも保険を適用できます。保険を適用できる症例は、後述の「矯正治療に保険が適用されるケース」で詳しく解説します。

関連記事:歯列矯正費用の分割払いはいくらかかる?シミュレーションも紹介

矯正治療に保険が適用されない理由

自己負担額が高額になりやすいため、矯正治療に保険を適用したいと考える方は多いでしょう。
気持ちは理解できますが、保険を適用できない理由があります。
健康保険は、病気や怪我のリスクに備えるため被保険者が少しずつ保険料を出し合う「共助」と呼ばれる仕組みで成り立っています。
したがって、病気や怪我の治療と認められない場合は保険を適用できません。

例えば、健康状態を確認する人間ドッグ、特定の病気にかかりにくくする予防接種の費用は自己負担になります。
同様に、外見の向上を目的とする治療も保険を適用できません。
矯正治療は外見の向上を目的とする治療と考えられているため、整形手術などと同じく、特別な理由がない限り保険を適用できないのです。

矯正治療に保険が適用されるケース

前述の通り、基本的に矯正治療は保険を適用できません。しかし、以下の場合は例外的に保険を適用できます。

【保険を適用できるケース】

  • ・先天性の異常や疾患がある
  • ・顎変形症である
  • ・噛み合わせに異常がある

これらについて詳しく解説します。

先天性の異常や疾患がある

厚生労働大臣が定める59疾患に起因する咬合異常に対する矯正治療は保険適用の対象です。
主な疾患は次の通りです(59疾患は公益社団法人日本矯正歯科学会が発表している「『厚生労働大臣が定める疾患』と保険適用の矯正歯科治療について」でご確認いただけます。) [1]

【59疾患の例】

  • ・唇顎口蓋裂
  • ・ダウン症候群
  • ・筋ジストロフィー
  • ・脊髄性筋委縮症
  • ・軟骨形成不全症
  • ・骨形成不全症
  • ・クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • ・6歯以上の先天性部分(性)無歯症
  • ・成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • ・偽性副甲状腺機能低下症
  • ・その他顎・口腔の先天異常

出典:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは

参考に、唇顎口蓋裂とダウン症について解説します。 唇顎口蓋裂は、口唇裂、口蓋裂、顎裂が組み合わさった状態です。
口唇裂は唇が割れた状態、口蓋裂は口蓋が避けて口腔・鼻腔がつながった状態、顎裂は歯茎に割れ目がある状態といえるでしょう。
唇顎口蓋裂は、歯が捻じれて生える、上顎が小さいなどの問題により噛み合わせが悪くなりやすいと考えられています。矯正治療を必要とするケースが少なくありません。

ダウン症は、21番目の染色体が1本多いことにより引き起こされる疾患です。
下の歯が上の歯より前に出ている、前歯がかみ合わず上下に隙間ができる、生まれつき歯の本数が少ないなどの問題を抱えていることがあります。
ダウン症の方も矯正治療を必要とするケースが多いといえるでしょう。

顎変形症である

顎変形症の手術前・手術後の矯正治療も保険を適用できます。ポイントは、手術を要するものに限定されることです。
顎変形症は、上顎と下顎の大きさ・形状の異常により咬合不正、顔面変形など症状を現す疾患といえるでしょう。
具体的には、下顎が突出する下顎前突症、下顎が小さい小下顎症、前歯がかみ合わず上下に隙間ができる開咬症などが代表的な顎変形症としてあげられます。
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝の影響が大きいと考えられています。また、指しゃぶりなどが影響している可能性も示唆されています。

顎変形症では、噛み合わせと顔の変形を改善するため治療を行います。
歯列矯正だけで改善を見込めないときは外科手術(口腔内から顎の骨を切って移動させる骨きり術)を検討します。この前後に行う矯正治療が保険適応の対象になるのです。

噛み合わせに異常がある

前歯、小臼歯のうち3本以上の永久歯萌出不全に起因する咬合異常に対する矯正治療も保険適用の対象です。
ただし、手術を必要とするものに限定されます。永久歯萌出不全は、永久歯が生えてこない状態です。
多くの場合、永久歯は歯茎の中に埋伏しています。このようなケースでは、歯茎を切開して埋伏歯を引き出す埋伏歯開窓術を行います。これにあわせて行う矯正治療が保険適用の対象です。

関連記事:歯列矯正が難しいケースもある?簡単なケースと併せて紹介

矯正治療が保険適応となる歯科医院を探す方法

以上のケースに該当する場合、矯正治療に保険を適用できます。
ただし、どの歯科医院でも保険診療を受けられるわけではありません。
保険診療を行えるのは、所定の施設基準に適合していることを地方厚生支局長などに届け出た医療機関だけです。該当する医療機関は以下の方法で探せます。

【保険診療を行える医療機関の探し方】

  1. 1.北海道厚生局・東北厚生局・関東信越厚生局・東海北陸厚生局・近畿厚生局・中国四国厚生局・九州厚生局のなかからお住まいの地域を管轄する地方厚生局の公式サイトへアクセスする
  2. 2.公式サイト内の検索窓に「施設基準届出受理医療機関名簿」と入力して検索
  3. 3.検索結果の「施設基準の届出受理状況(全体)」などへ進み、該当する都道府県のデータを確認する
  4. 4.「矯診」「顎診」と記載された医療機関を見つける

「矯診」は、厚生労働大臣が定める59疾患に起因する咬合異常に対する矯正治療と前歯、小臼歯のうち3本以上の永久歯萌出不全に起因する咬合異常に対する矯正治療に対して保険診療を行える医療機関、
「顎診」は顎変形症の手術前・手術後の矯正治療に対して保険診療を行える医療機関です。

関連記事:矯正歯科における認定医の概要と在籍している歯科医院が選ぶメリット

【治療別】歯科矯正の費用の相場

矯正治療にかかる費用はケースで大きく異なります。
治療内容はもちろん、歯科医院の方針も治療費に大きな影響を与えます。
ただし、相場がないわけではありません。治療方法別におおよその目安を示すと以下のようになります。
 

治療方法(全顎矯正)

費用の目安

表側矯正

60~100万円

裏側矯正

80~160万円

マウスピース矯正

80~160万円

 

以上の金額に、相談料、検査・診察料、調整料などがかかることもあります。
治療を受ける前に、何にどれくらいの金額がかかるか確かめておくことが重要です。
追加料金が心配な場合は、トータルフィー制度を採用している歯科医院を選ぶとよいかもしれません。初回に提示された料金のみで治療を受けられます。

関連記事:【矯正医が教える!】マウスピース矯正の費用とは!?

 

歯科矯正費用の負担を軽くするには?

全顎矯正を受けると、100万円前後の費用がかかることが一般的です。

一度にまとまった費用を払えない場合や月々の負担額を押さえたい場合は、デンタルローンを利用するとよいでしょう。
デンタルローンの魅力は、金利が低く抑えられていることです。ただし、審査はやや厳しいといわれています。未成年の方は、親名義での利用が可能です。

医療費控除を活用して負担額を抑えることもできます。
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超える場合に所得控除を受けられる制度です。
生計を一とする配偶者・親族のために支払った医療費も対象になります。
医療費控除の対象になる金額は以下の計算式で求められます。[2]

医療費控除の対象になる金額=実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額-10万円(※)
※総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%

領収書から作成した医療費控除の明細書を確定申告書に添付して申請します(医療費通知の添付で簡略化することもできます)。詳しくは、税務署などでご相談ください。

関連記事:意外と知らない歯の矯正に費やす時間と費用について紹介

関連動画:【裏技】知らないと損する!歯列矯正を安くする方法を矯正医が徹底解説!【歯科矯正】

矯正歯科の治療に保険は適用できない

ここでは、矯正治療に対する保険適用について解説しました。
一定の条件に該当する場合を除き、矯正治療に保険は適用できません。基本的には、全額自己負担になり、費用の目安は60~160万円程度です。ここに調整料などがかかることもあります。
負担感を押さえたい場合は、デンタルローンを利用するとよいでしょう。
あるいは、医療費控除を活用して、所得控除を受けることもできます。高額な費用がかかるため、契約前に詳細を確認しておくことが重要です。

関連記事:歯列矯正の流れとは?初診時の流れについて解説

谷の矯正歯科「渋谷ルーブル歯科・矯正歯科」では、矯正治療に関するご相談を無料カウンセリングで患者様の気持ちに寄り添いながらお受けしております。
費用や、デンタルローンについても詳しくお話させていただきますので、是非ともお問い合わせください。

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[1]出典:日本矯正歯科学会「『厚生労働大臣が定める疾患』と保険適用の矯正歯科治療について」 

[2]出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」 

 

この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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