インビザラインで抜歯が必要なケースと不要なケースを詳しく解説
この記事を監修した人
医療法人社団ルーブル 理事長
愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。
インビザライン矯正は、透明なマウスピースを使用して歯並びを整える人気の治療法です。 しかし、治療を検討する際に「抜歯が必要になるのでは？」と心配される方も多いでしょう。 実際、インビザライン矯正で抜歯が必要になるケースがあります。一方で、抜歯せずに治療できる場合もあります。 この記事では、インビザライン矯正における抜歯の必要性について、詳しく解説していきます。
インビザライン矯正で抜歯が必要なケース
インビザライン矯正でも、症例によっては抜歯が必要になることがあります。 以前は大きな歯の移動が難しいとされていましたが、技術の進歩により現在では抜歯を伴う治療も可能になっています。 抜歯が必要となるケースについて説明します。
歯の生えている向きに問題がある
歯の向きが正しくない場合、インビザラインだけでは矯正が難しくなることがあります。 例えば、歯が前方に向かって突出している「口ゴボ」や「出っ歯」の症例では、抜歯によってスペースを確保し、歯列を後方に動かす必要があります。 これにより、歯全体の向きや噛み合わせを整えることができます。
歯の生えている位置に問題がある
重度の八重歯や乱杭歯など歯が正しい位置に収まらない場合に抜歯が必要になることがあります。 これは、顎が小さいために歯が並ぶスペースが不足している場合に起こります。 抜歯でスペースを確保し、残りの歯を適切な位置に移動させることで、綺麗な歯列を実現できます。
前歯が大きく突出している
前歯が大きく突出している場合、抜歯を行うことでスペースを作り、前歯を後ろに引っ込める治療が行われます。 これにより、口元の突出感を改善し、より自然な口元の形状を目指します。 前歯の突出は、幼児期のおしゃぶりや指しゃぶり、口呼吸などが原因で起こることがあります。
親知らずがほかの歯に影響している
親知らずの生え方によっては、他の歯に悪影響を与える場合があります。 特に、横向きに生えている親知らずは歯並びを押し出してしまうことがあります。 このような場合、インビザライン矯正の前に親知らずを抜歯することで、より効果的な治療が可能になります。
虫歯や歯周病がみられる
重度の虫歯や歯周病により、保存が難しい歯がある場合も抜歯が必要となることがあります。 健康な歯を残すことが最優先ですが、将来的な歯の健康を考慮して、問題のある歯を抜歯してからインビザライン治療を進めることがあります。 これにより、長期的な口腔衛生の維持と安定した矯正結果を目指します。
インビザライン矯正で抜歯が不要なケース
インビザライン矯正では、必ずしも抜歯が必要というわけではありません。歯の状態や顎の構造によっては、抜歯せずに治療を進められるケースもあります。
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IPRで対応できる
IPR（Inter-Proximal Reduction）は、歯と歯の間のエナメル質を少量削って隙間を作る方法です。 この処置により、0.1〜0.25mm程度のスペースを確保することができます。IPRは歯の表面を削るため、痛みはほとんどなく、知覚過敏になるリスクも低いのが特徴です。 歯の大きさに比べて顎が小さい場合や、軽度の叢生（歯列不正）の場合に有効な方法です。IPRで十分なスペースが確保できれば、抜歯を回避することができます。
顎の骨が奥歯の後ろにも存在する
奥歯の後ろに十分な顎の骨がある場合、その空間を利用して歯を後方に移動させることができます。 この方法は「後方移動」と呼ばれ、インビザラインの特徴的な治療法の一つです。マウスピースの力を利用して奥歯を徐々に後ろに動かし、前歯部分のスペースを確保します。 この方法は特に、軽度から中程度の出っ歯や叢生の治療に効果的です。ただし、もともと顎が小さい方の場合は十分なスペースを確保できないことがあるため、注意が必要です。
歯列の幅を拡張できる
歯列の幅を横に広げることで、歯を並べるためのスペースを確保する方法もあります。 これは「側方拡大」とも呼ばれ、インビザラインのマウスピースを使って歯列全体を徐々に広げていきます。 この方法は特に、軽度の八重歯や叢生の改善に効果的です。ただし、上下の歯列のバランスを保つために、通常は上下両方の歯列を同時に拡大する必要があります。 また、過度な拡大は顎関節に負担をかける可能性があるため、適切な範囲内で行うことが重要です。
インビザライン矯正で抜歯するメリット
インビザライン矯正で抜歯を行う場合、いくつかのメリットがあります。抜歯は決して軽視できる処置ではありませんが、適切に行うことで治療効果を高め、より良好な結果を得られる可能性があります。
- ・重度の症例にも対応可能
- ・口元の突出感改善
- ・治療計画が立てやすい
- ・治療期間の短縮
- ・歯列全体のバランス改善
- ・歯列の安定性の向上
重度の症例にも対応可能
抜歯を行うことで、従来のインビザラインでは難しいとされていた重度の歯列不正にも対応できるようになります。例えば、著しい叢生（歯の重なり）や大きな出っ歯の症例でも、抜歯によって十分なスペースを確保し、効果的な治療が可能になります。
口元の突出感改善
前歯が大きく突出している場合、抜歯によってスペースを作り、前歯を後方に引っ込めることができます。これにより、口元の突出感が改善され、より自然な口元の形状を実現できます。
治療計画が立てやすい
抜歯によって十分なスペースが確保されるため、歯の移動をより正確に計画することができます。これにより、治療の予測性が高まり、望ましい結果を得やすくなります。
治療期間の短縮
症例によっては、抜歯を行うことで治療期間が短縮される場合があります。特に、大きな歯の移動が必要な場合、抜歯によってスペースを確保することで、より効率的に歯を移動させることができます。
関連記事：歯列矯正の期間はどのくらい？長くかかってしまう人の特徴とは？
歯列全体のバランス改善
抜歯を行うことで、歯列全体のバランスを整えやすくなります。これにより、より自然で調和の取れた歯並びを実現することができます。
歯列の安定性の向上
適切に抜歯を行うことで、矯正治療後の歯列の安定性が向上する可能性があります。過密な状態を解消することで、歯が元の位置に戻りにくくなり、長期的に良好な歯並びを維持しやすくなります。
インビザライン矯正で抜歯するデメリット
一方で、考慮すべきデメリットも存在します。抜歯は不可逆的な処置であるため、慎重に検討する必要があります。
- ・健康な歯を失う
- ・治療期間の延長の可能性も
- ・抜歯後の痛みや不快感
- ・咀嚼機能への影響
- ・顔の形態変化
- ・歯列の隙間が残るリスク
健康な歯を失う
最も大きなデメリットは、健康な歯を永久に失うことです。抜歯後は二度と元に戻すことはできないため、慎重な判断が求められます。
治療期間の延長の可能性も
抜歯後のスペースを埋めるために、より大きな歯の移動が必要となる場合があります。これにより、治療期間が延長する可能性があります。
抜歯後の痛みや不快感
抜歯直後は痛みや腫れ、出血などの不快感を伴うことがあります。これらの症状は通常一時的ですが、患者の負担となる可能性があります。
治療期間の短縮
症例によっては、抜歯を行うことで治療期間が短縮される場合があります。特に、大きな歯の移動が必要な場合、抜歯によってスペースを確保することで、より効率的に歯を移動させることができます。
咀嚼機能への影響
歯を抜くことで、噛む力が一時的に弱まる可能性があります。特に奥歯を抜歯した場合、咀嚼機能に影響を与える可能性があります。
顔の形態変化
抜歯により、口元の形状が変化する可能性があります。特に前歯を抜歯した場合、唇の支える力が減り、顔の印象が変わることがあります。
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歯列の隙間が残るリスク
抜歯後のスペースを完全に閉じることができない場合、歯列に隙間が残る可能性があります。これは審美的な問題だけでなく、食べ物が詰まりやすくなるなどの機能的な問題も引き起こす可能性があります。
インビザライン矯正で抜歯する場合の治療内容
インビザライン矯正で抜歯が必要と診断された場合、治療内容や流れが気になるところです。抜歯を伴うインビザライン矯正の具体的な治療内容について解説します。
抜歯のタイミング
インビザライン矯正で抜歯が必要な場合、そのタイミングは症例によって異なります。一般的には、インビザライン治療を開始する前に抜歯を行うことが多いです。これは、治療計画を立てる際に、抜歯後の状態を考慮に入れることができるためです。 特に、親知らずの抜歯や重度の虫歯がある場合は、インビザライン前の抜歯が推奨されます。これにより、矯正治療中の合併症のリスクを減らすことができます。 ただし、場合によっては矯正治療の途中で抜歯を行うこともあります。例えば、治療の進行に伴って抜歯の必要性が明らかになった場合や、段階的な抜歯が効果的だと判断された場合などです。
治療期間の目安
インビザライン矯正の治療期間は、抜歯を伴う場合としない場合で異なる傾向があります。一般的に、抜歯を伴う治療の方が、やや長期間になることが多いです。 抜歯を伴わない通常のインビザライン治療では、部分矯正の場合で約1年未満、全体矯正の場合で約2年から2年半程度が一般的です。一方、抜歯を伴う場合は、これよりも長くなる可能性があります。 具体的には、抜歯を伴うインビザライン治療の場合、治療期間は約2年から3年程度になることが多いです。ただし、これはあくまで目安であり、個々の症例や治療の進行状況によって大きく異なる場合があります。
治療費用の相場
インビザライン矯正の費用は、抜歯の有無や治療の範囲によって変わってきます。一般的な相場としては、以下のようになっています。
- 1.部分矯正の場合：約40万円～
- 2.全体矯正の場合：約80万円～
- 3.抜歯費用が必要な場合：1本あたり約5,000円～1万円
ただし、これらの費用はあくまで目安であり、実際の費用は歯科医院や治療内容によって異なります。
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専門医と歯の状態に合わせた治療法を相談
インビザライン矯正では、症例によって抜歯が必要な場合と不要な場合があります。抜歯が必要なケースには、歯の向きや位置の問題、前歯の突出、親知らずの影響などがあります。一方、IPR、後方移動、側方拡大などの技術を用いれば、抜歯を回避できることもあります。抜歯には治療の幅が広がるメリットがありますが、健康な歯を失うデメリットもあります。治療期間や費用は個々の症例により異なりますが、一般的に抜歯を伴う場合はやや長期化する傾向があります。最適な治療方法を選択するには、専門医との綿密な相談が不可欠です。渋谷の矯正歯科・渋谷ルーブル歯科では、経験豊富な専門医が最新の技術と設備を用いて、患者さま一人ひとりに最適なインビザライン矯正プランをご提案いたします。抜歯の必要性についても丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
